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2023.10.17
家づくりコラム
耐震等級3はどのくらい地震に強い? 耐震等級2との違いや耐震等級3相当との違いも解説
最終更新日:2024.10.20
日本は地震が多い国としてよく知られています。だからこそ、地震で受けるリスクを最小限にするためには、耐震性の高い住宅を選ぶことが大切です。では、具体的に「耐震性能」とは何でしょうか。また、注文住宅を検討される方々は「耐震等級」という用語をよく耳にするでしょう。それぞれの耐震等級が示す内容や、耐震等級2と3の違い、さらに「耐震等級3相当」の意味とは何か。このような耐震に関する疑問点を、今回詳しく解説します。
耐震性能とは
地震に強い家とは?
家の強度を確認する要素には、壁の強さ、部材の強さ、地盤・基礎の強さ、大きく分けるとこの3つの観点があります。これらの要素がバランスよく配されていることが、地震発生時に家と家族を守る鍵となります。
1.壁の強さ(壁量・耐力壁配置・床強度)
まず「壁の強さ」についてですが、地震が起きた際、縦揺れは建物の柱が支えてくれますが、横揺れは柱の力だけでは支えることができません。そこで重要なのが壁の強さです。中でも通常より頑丈に作られた壁を「耐力壁」と言います。この耐力壁が適切な量と配置でバランスよく設置されている事が重要となります。
2.部材の強さ(柱強度・梁強度・柱接合部強度・梁接合部強度)
次に「部材の強さ」についてです。こちらは柱や梁といった家の骨格に関わる部分で、これが強固でなければ家全体の耐震性は大きく低下します。家の重さや家具の重さに対して適切に支えることができるか、接合部などの強度は十分であるかなど、必要な場所に必要な強度の部材が配置されていることが重要となります。
3.地盤・基礎の強さ(地盤強度・基礎強度)
最後に「地盤・基礎の強さ」もまた重要な要素です。地震の力は地盤から伝わるため、地盤がしっかりしていないと家自体が崩れるリスクが高まります。地盤調査をしっかりと行い、そのデータに基づいて安全な基礎工事を施すことが大切です。
これら3つの要素がバランスよく組み合わさって初めて「地震に強い家」が形成されます。だからこそ、これら各要素ひとつひとつに目を配り、選び抜くことが地震に強い家づくりにおいて非常に重要なのです。そしてこれらの強度を確認する方法が3つあります。
その内容について次にお話していきます。
どんな計算方法があるの?
これまでお話したように、耐震性能つまり家の強度を確認する上では、壁の強さ、部材の強さ、地盤・基礎の強さの3つの観点がありました。これらを計算する方法として、壁量計算(仕様規定)、性能表示計算(品確法)、構造計算(許容応力度計算)の3種類があります。ここでは、各計算の内容について解説します。
1.壁量計算(かべりょうけいさん)[仕様規定]
壁量計算とは、建築基準法施行令第46条4項に定められた内容で、各階の張り間方向とけた行方向に地震力と風圧力それぞれに対する必要壁量が計画されているか確認するものとなります。これは多くの2階建ての住宅で採用されており、基本的な耐震性能を確認する方法ですが、他の方法に比べて簡易的な内容となります。木造住宅70%はこの計算方法です。
2.性能表示計算[品確法]
性能表示計算とは、住宅品質確保促進法の規定に沿って計算される方法で、壁量計算よりも詳細に計算する内容となります。壁量・接合部・基礎・横架材について詳細な計算を実施し、壁量計算では考慮されていない対象範囲まで検証を行います。木造住宅の20%はこの計算方法です。
3.構造計算[許容応力度計算]
構造計算は、最も耐震性に優れた高度な計算方法で、性能表示計算でチェックした項目をさらに詳細に計算します。柱の1本1本、梁の1本1本、基礎に至るまでの全ての部材に対する強度を検証していきます。実際の間取りに合わせて、その建物があらゆる角度で安全かということを検証するのはこの計算方法のみです。そうすることで、最も確実性の高い耐震性能を得ることが可能となります。木造住宅の10%はこの計算方法です。
耐震等級とそれぞれの等級の特徴
ここまでは、家の強度とその計算方法について解説をしました。ここからは耳にされることもある「耐震等級」についてお話をしていきたいと思います。
耐震等級とは「その家がどれくらい地震に耐えられるか」を数値で示したものです。この指標は、国が定めた厳格な基準に則り、家の壁や柱、梁などの構造部材の強度、地盤の状態、さらには建物の設計形状に至るまで、多角的に評価され算出されています。また、耐震等級には1から3までのレベルがあり、各レベルにはそれぞれの特徴と性能があります。特に、地震が多い日本で生活する上で、高い耐震等級の家を選ぶことは、家族の安全と生活の安心に直結します。そのため、しっかりと耐震等級を把握し、それを基に賢い住宅選びをすることが、将来の安全リスクを最小限に抑えることにつながります。
耐震等級1
まず「耐震等級1」ですが、これは国の建築基準法で定められている最低限の耐震性能を満たす水準です。このレベルの住宅は、特に強い地震が発生した場合にはその耐震性が限界に達する可能性が高いです。簡単に言えば、普段の生活では安全でも、大地震の際には危険が伴う可能性があります。人命の救出を最優先するのが考えの元にあるため、建物は再使用できない可能性が高いと考えるといいでしょう。
耐震等級2
次に「耐震等級2」は、耐震等級1を基準にして強度を増した構造になっています。しかし、非常に強い地震が発生した場合、その安全性は万全ではないことも理解しておくべきです。目安として、構造強度を持つ壁の量が耐震等級1と比べて1.25倍以上あるものとされています。
耐震等級3
さらに「耐震等級3」は最も高いレベルの地震耐性を有しています。このカテゴリの住宅に住んでいれば、例えば阪神淡路大震災や東日本大震災のような大きな地震が発生しても、家自体は大きなダメージを受けにくいでしょう。目安として、構造強度を持つ壁の量が耐震等級1と比べて1.5倍以上あるものとされています。
耐震等級2と3の違い
よく質問をいただく「耐震等級2と3の違い」について説明します。
耐震等級2と3の主な違いは、それぞれがどれだけ強力な地震に耐えうるかという点に尽きます。耐震等級2の家は一般的な地震には対応していますが、例外的に強い地震にはその耐久性が限界に達する可能性があります。対照的に、耐震等級3の家は極めて強力な地震に対してもより高い安全性を持っています。この等級の住宅は、最新の技術と優れた材料を使用して建築され、万が一の大地震でも家族の安全を守ることができる可能性が高くなります。
耐震等級3と3相当の違い
続いて、耐震等級3と耐震等級3相当の違いについてです。これら2つの違いは「公的機関による公式な認定を受けているかどうか」です。
耐震等級3「相当」は、耐震等級3と同等の性能を持つものの、住宅性能評価機関による公式な認定を受けていない住宅を指します。耐震等級3相当の家は、その耐震性能が建築会社によって内部的に評価されていますが、第三者機関からの公式な評価や証明書は発行されていません。そのため、実際の耐震能力はその建築会社の内部情報となり、一般には公開されていない場合が多いです。この点を考慮に入れ、耐震等級3「相当」の住宅を選ぶ際は慎重な判断が求められます。もし、「相当」で計算する場合は計算式を見せてもらうのも手です。
同じ耐震等級でも内容が異なる
ここで注意したいのが、同じ耐震等級でも計算方法によって中身が異なるという点です。前述で紹介したように、耐震性能を計算する方法として、壁量計算(仕様規定)、性能表示計算(品格法)、構造計算(許容応力度計算)の3つがありました。
上記の図をみると、性能表示計算(品確法)の耐震等級2と構造計算(許容応力度計算)の耐震等級2では同じ等級2という表記でも、耐震性能に違いがあります。耐震等級という言葉だけで、一括りにしてしまわないように注意をしましょう。
耐震等級はどの程度が妥当か?
ここまで家の強度や耐震等級についてご紹介しましたが、実際にはどの程度の耐震等級が必要なのでしょうか?
地域によって検討が必要
地震のリスクは地域によって異なります。そのため、どの地域で生活するかによって、適切な耐震等級も変わってきます。大きな自然災害が発生した場合、構造計算をしっかりと行っている家とそうでない家とでは、その耐久性に大きな差が出ることがあります。実際、熊本地震では短期間に震度6強や震度7の地震が複数回起きており、耐震等級2でも倒壊する木造住宅が確認されました。
この事例を考慮すると、一生のうちで一度も地震が発生しない保証はどこにもありません。今の土地で長い間過ごすことを考えると、構造計算の費用は確実に投資する価値があると言えるでしょう。リスクの高いエリアでは、構造計算(許容応力度計算)による耐震等級3が特に推奨されます。特に私たちの暮らす静岡県浜松市や磐田市周辺では、その立地条件からも地震のリスクが高いとされています。そういった地域にお住まいの方や今後その地域で暮らそうと思っている方でも、構造計算による耐震等級3を取得した家に住めば、大地震が発生しても家族と財産はより高い確率で保護され、安心して暮らすことができます。
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